ひでぽんの司法試験あれこれ
旧司法試験をメインテーマに、その対策や分析について、徒然なるままに書いていきたいと思います。
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平成19年度憲法第2問分析
【問題文】

 「内閣は,条約を締結する際,その条約の合憲性について,最高裁判所の見解を求めることができる。最高裁判所が違憲であるとの見解を示した場合は,内閣はその条約を締結することはできない。」という趣旨の法律が制定されたと仮定する。この法律に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。

【本問のポイント】

 憲法の第2問は、例年統治の問題が出題される。比較が問われた17年・18年と異なり、19年の問題は所謂純粋な原則・例外型の問題である。また、テーマは条約についての各機関の権限関係である。
 条約は、昭和の時代に何度も論文で聞かれた、頻出テーマの一つである。そこにまつわる論点も多数ある、統治の重要分野であるにもかかわらず、平成に入ってから全く出題されてこなかった。おそらく、条約に関連する論点は典型的なものばかりで、予備校の論証パターンを貼り付ければ処理できてしまうことから、論点外しの傾向があった、平成以降の出題に上手く乗らなかったからではないかと考えられる。
 しかしながら、本問は典型論点が多く関わりながらも、それらの論点を処理するだけでは出題意図にとても迫ることが出来ない、本試験ならではの素晴らしい問題に仕上がっている。私も問題分析をしながら、その奥深さに気づき、かなり驚いた。本問を一目見て、取り組みやすそうだなと感じた方は、注意が必要である。実際、受験生のレベルはかなり低い。

【統治の出題傾向】

 憲法第2問は、前述したとおり、例年統治の分野から出題される。近年の統治の出題パターンとしては、大きく分けて3つある。一つが、所謂比較型問題、次に原則・例外型、最後は上記二つのパターンに乗らない、論点型の問題である。
 一番目の比較型は、文字通り複数の概念の比較が要求されている問題である。このパターンでは、二つの概念について統治機構の基本原理から相違点を探し、両者を比較していくことになる。平成6・12年の問題がこれに当たる。
 二番目の原則・例外型は、一見すると憲法上の原則に反するような、法律の合憲性や概念について聞くことで、その原則に対する例外が何処まで認められるかを問うパターンである。平成8・9・10・13・15・16年当たりが、このパターンであると言えよう。
3番目は、上記二つのパターンに当てはまらない、比較的典型的な論点処理をした上で、自分の立てた規範への当てはめが要求されている問題である。近時では、平成14年の問題がこれに当たる。
統治ではこれらの型がミックスされることも多く、平成17・18年は、原則に対する例外が問われつつ、二つの概念の比較についても問われた、原則・例外型と比較型のミックス型問題であったと言えよう。平成19年の問題は、前述の通り、原則例外型の問題であった。出題の形式としては、平成13年の第2問に酷似していると言える。
 ここまで見てきたように、近時の出題のほとんどが原則・例外型である。これは、前述したような、論点外しの意図があるからではないかと考えられる。このパターンによると、未知の問題を作りやすいのである。このことは、論点処理で対応出来る問題が、平成10年以降では、平成14年のみの出題に止まっていることからも裏付けられる。
 平成20年度も、原則・例外型、若しくは原則・例外型と比較型のミックス問題が出題される可能性が非常に高いと考えられる。

【問題の分析】

1.どの条文・原則に反するか?
「条約を締結する際」「条約を締結することは出来ない」
→内閣が自由に条約を締結できなくなり、内閣の条約締結権を制約
⇒73③に反しないか?

※原則があまりメジャーなものではないが、内閣の条約締結権については、過去問でも何度か聞かれているところである。

2.原則の趣旨
73③の趣旨=条約は相手国との継続的な交渉が必要、扱う内容も国際関係についての高度な政策判断能力が必要なものが多い
⇒迅速性・恒常性・専門性・技術性に優れた、内閣に帰属させるのが適切

3.例外の必要性(反対利益)の検討
本問法律の趣旨=違憲の法律の出現を防止すること

そもそも条約が違憲となりうるか?
→一元説or二元説(論点)
⇒二元説
→憲法と条約の効力関係(論点)
⇒憲法優位説

本問法律の趣旨も一定程度合理性がある

4.両者の比較衡量
(1)反対利益への配慮
そもそも、条約に対する違憲審査権(81)は認められるか?(論点)
→認められる(法の支配)
↓とするなら
最高裁に条約が憲法に反するかどうかの見解を求めることを認めた方が、違憲の条約を阻止することになり、良いとも思える(必要性)
↓また
「求めることができる」と規定されており、内閣に見解を求めることを強制しているわけではなく、内閣の条約締結権を大きく侵害するものではないとも考えられる(許容性)

(2)自己の結論の正当性
違憲審査権の性格(論点)
→付随的審査制(司法権の意義)
⇒締結前に、最高裁が合憲性についての見解を示すということは、実質的に抽象的違憲審査制を認めたのと同様の効果が生じる
↓そして
最高裁が違憲という見解を示すと、内閣は「締結することはできない」
→内閣の権限に対する制限は、やはり大きい
⇒73③の趣旨が果たされない危険がある
↓また
憲法は、外交権限を内閣に多く与え、裁量の余地を大きく与えている(72条・73②など)
⇒なるべく、締結にあたり大きな制約を設けないことを、憲法自体が要請している
↓更に
憲法は73③で条約の締結を内閣の権限としつつ、61条・73③ただし書で国会の承認を必要とする
→この趣旨は、内閣の締結した条約について、国民の代表機関がその内容についてチェックし、条約に対する民主的コントロールを及ぼそうとするもの
⇒内容が憲法に適合したものかは、まず民主的機関たる国会が判断すべきであり、非民主的な機関たる、裁判所の判断を先行させるべきでない。
↓よって
違憲

※ 本問では、上記に挙げたように、条約にまつわる様々な論点に触れていかなくてはならない。しかしながら、論ずべきことが多数あり、しかも直接的には論点を問う問題ではないので、一つ一つの論点については、簡潔に論ずべきであることは言うまでもない。
※ 本問法律は、抽象的違憲審査制そのものを認めるものではないことに注意すべきである。条約の締結前には、法規範としての効力は生じていないからである。

【出題者の意図】

(出題趣旨)
 本問は,内閣が条約を締結するに際し,その合憲性について最高裁判所の見解を求めることができるかという点について,違憲審査権の性格,司法権の意義,憲法と条約の関係,国会の条約承認権等に関する基本的理解を踏まえながら,論理的記述ができるかどうかを問うものである。

 上記の分析と同様のことが書かれている。原則部分が、憲法上の大原則とは直接に関わらない、比較的マイナーな所ながら、本来応用部分であるはずの、反対利益や両利益の調和の部分で、条約にまつわる超基本的論点について色々触れていかなくてはならないという、非常に良くできた問題である。しかも、論パ貼り付けでは絶対に対応しきれない問題であるところもミソである。20年度もこういった傾向が続くのではないか?

【合格答案の要件】

・ 原則である73条③を提示し、その趣旨を示す
・ 反対利益を示す
・ 憲法と条約の効力関係について論ずる(簡潔でOK)
・ 条約に対する違憲審査の可否について論ずる(簡潔でOK)
・ 違憲審査権の性格について、司法権の意義から論ずる

※大してレベルは高くない

【上位答案の要件】

・ 「 」内にある法律の内容について、しっかりと配慮して論じている
・ 両者の利益に配慮する中で、反対利益について丁寧に配慮できている
・ 国会の条約承認権の趣旨について言及できている

【講師の現場思考】

・ おっ!原則・例外型の問題か!!
・ まずは、憲法上の原則を提示だな!内閣の条約締結権に対する制約だから、73③か。しかし、マイナーな原則だな・・・。過去問では良く出ているけど・・・(少し不安)。
・ 趣旨は準備してあったものを、丁寧に示そう。行政権のキーワードを出来るだけ提示しようか。
・ 次に、反対利益だが、これは簡単だな。違憲の法律の出現の防止と・・・・んっ!?まずは、憲法と条約の効力関係を論じなければ、この法律の趣旨の合理性は認められないぞ!ということは、二元説についても簡単に触れておこうか。
・ 待てよ!?更に条約に対する違憲審査の可否についても論じないとダメだな!反対利益のところで、条約についての基本論点を聞いてきているのか?すごい問題だな!
・ 両者の調和だが・・・。そうか!!この法律を認めると、実質的に抽象的審査制を認めるのと同じ効果が生じるぞ。ここで違憲審査権の性格を論じればよいのか!!ここはメイン臭いから、司法権の意義からしっかりと論じてやろう。
・ 他にも司法権の独立や、憲法上の条文を示そう。
・ そうだそうだ。この手の問題は「 」内にポイントが隠されているんだよな。両者の利益を調和させる中で、しっかり言及するようにしなくては。

【憲法総括】

 1問目は、出題が予測されていた分野。2問目も応用であり奥が深いものの、そこまで分析が難しい問題だとは思えない。しかしながら、受験生の出来は芳しいとは言えない。やはり、憲法は論文試験一科目であり、平常心で受験するのは難しいからかも知れない。
 憲法ではとにかく落ち着いて受験することが大切である。ここで躓くと、精神的ダメージが大きくなり、一日目の成績に悪影響を及ぼす危険が高いからである。無難な答案でもよしという位の気持ちでも良いだろう。無理して攻めようとしないことが肝要である。

                                                        以上

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平成19年度憲法第1問分析
【問題文】

 A市では,条例で,市職員の採用に当たり,日本国籍を有することを要件としている。この条例の憲法上の問題点について,市議会議員の選挙権が,法律で,日本国籍を有する者に限定されていることと対比しつつ,論ぜよ。

【本問のポイント】

 憲法の第1問は例年人権が出題される。当てはめ勝負であった昨年の問題と異なり、本問は純粋論理型の問題である。外国人の公務就任権については、管理職就任権について、近年最高裁判例が出ているところであり、本問は出題が予測されていたテーマであった。
 もっとも、本問は最高裁判例が出た管理職就任権や平等権についてではなく、広義の公務就任権についての出題であることに注意を払う必要がある。また、地方自治レベルでの選挙権との比較が要求されていることが最大のポイントとなる。後に述べるように、ここが出題意図をダイレクトにつながるのである。
 本問は、何の衒いのない典型的な出題形式であり、かつ出題が予測されていたところであるにもかかわらず、意外に出題の趣旨どおりの答案を作成できた受験生は少なかったようである。
 因みに、本問は、平成9年第1問と非常に類似している。

【人権の出題傾向】

 憲法第1問は、前述したように、例年人権が出題される。人権の出題傾向としては、所謂、人権処理パターンの問題と、本年度のような論理型の問題に大別される。
前者は、比較的問題文が長く、事実が詳細で、あてはめをすることが要求される問題である。非典型人権について出題されることが多いのも特徴的である。近年では、平成10・11・12・14・16・18年の問題がこれにあたる。後者は、比較的問題文が短く、かつ事実についても抽象的なことが多い。比較問題として出題されることがほとんどである。近年では、平成9・13・15年の問題がこれにあたる。ただ、平成7・8・17年の問題のように、いずれとも決しがたい問題も時折出題されることにも注意を要する。
 近年は、当てはめ重視の問題が続き、平成18年が純粋な人権パターン型の問題であったことから、19年度は論理型の出題が強く予測されていたところであった。では、20年度はどうか?断定は出来ないが、やはり人権処理パターン型の出題が強く予測されるところであろう。

【論理型問題について】

 論理型の問題については、以下のような特徴がある。
まず、外国人や法人などの人権享有主体性や、平等についての出題が多いこと。平成13年に法人が、15年に平等が聞かれたので、外国人について出題される可能性が高かったところである。
そして、前述のように、比較問題として聞かれることがほとんどであること。法的三段論法を駆使して、論理を紡いでいくのが縦の論理とするならば、比較問題ではさしずめ横の論理が聞かれているのである。
 また、問題文の事実が抽象的で、当てはめに対する配点が低いことも特徴といえよう。場合によっては当てはめを要求されていない問題もある。本問も、特に当てはめを問われていない問題であったといえよう。
 この様な、比較論理型問題の処理としては、まず比較のポイントを探すことが重要となる。比較を要求されている対象について共通項を検討し、次に両者(あるいは複数の間)の相違点を探す。ここが、答案全体を貫く心臓部分となるのだ。
 次に、相互にメインとサブの関係があるならば、メインについて枠組みを作り、その中で両者を比較していくと良い。場合によっては、両者で枠組みを作った方が書きやすい場合もある。その際は、比較の対象であるサブの方から論じてやると、比較しやすくなる。相互の並列的な比較が問われているなら、双方で枠組みを作り、それぞれについて論じる中で、比較していく。
 また、比較問題では、最後にコンパクトなまとめを設けるべきである。答案が引き締まり、出題意図を把握していることが一目で分かるからである。

【問題の分析】

<両者の関係>
条例の合憲性と法律の合憲性の比較問題
→メインは条例について。法律の合憲性はサブ。

<比較のポイントの分析>
・ 市職員の採用にあたり、日本国籍を要件としている条例の合憲性
→外国人の地方自治レベルでの公務就任権を否定するもの
・ 市議会議員の選挙権を、日本国籍を有する者に限定する法律の合憲性
→外国人の地方自治レベルでの選挙権を否定するもの
⇒外国人の公務就任権と選挙権の比較

・ 両者の共通項=参政権的意義を有する人権/15条1項によって保障される人権(争いあり)
⇒外国人には、国民主権との関係で、保障の可否が問題となる人権
・ 両者の相違点=国民主権(前文・1条)との関係が異なる
⇒選挙権は国民主権を正に具現化する権利
公務就任権は、職種が幅広く、必ずしも国民主権に直結しない場合もある
→ここが両者の比較のポイント

更に両者は、国家レベルでなく、地方自治レベルのだということも一つのポイント
⇒国民主権を厳格に貫く必要は必ずしもない

※他にも、制限を設けているのが、それぞれ法律と条例であるという相違点も存在するが、全体の流れに乗ってこないので、気にせずとも良いであろう。

<枠組み作り>
1.法律の合憲性
外国人の地方自治レベルでの選挙権を侵害?

外国人の人権享有主体性(論点)
⇒性質説

参政権としての性質→国民主権と抵触
⇒保障されない
⇒合憲
↓もっとも
地方自治の特殊性⇒許容説

2.条例の合憲性
外国人の地方自治レベルでの公務就任権を侵害?

公務就任権の人権性・根拠規定(論点)
⇒15条1項説
→参政権的性質から保障されないとも思える
↓しかし
・ 公務には幅広い職種あり
・ 職業選択の自由(22条1項)としての性質
・ 地方自治では国民主権を厳格に徹底する必要はない
⇒保障される
⇒違憲

3.まとめ

※ 本問ではあてはめは特に問われていないと考える。外国人に公務就任権が保障されているならば、一切の外国人の公務就任を否定する本問条例は、自動的に違憲になるからである。もっとも、多くの受験生はあてはめを展開してしまっているので、問題はなかろう。
※ 公務就任権ではなく、平等権として展開した受験生もそれなりにいたようだ。最高裁判例に従ったものと思われる。これでもAがついている。しかしながら、それでは選挙権との比較という、本問の視点がぼやけてしまうので、あまり好ましくないと言える。
※ 外国人の選挙権について判例(許容説)、あるいは、公務就任権についての高裁判決や最高裁判例については、どこまで触れるべきなのか迷うところである。思うに、本問では選挙権については比較の対象に過ぎないし、管理職就任について問題となった東京都の事件と異なり、本問では広義の公務就任権が問題となっているので、大展開は危険である。加点事由であると考える。触れる場合も、全体の流れを損なわないように気をつけて論じるべきであろう。

【出題者の意図】

(出題趣旨)
 本問は,外国人の公務就任権及び地方議会議員の選挙権について,外国人の人権享有主体性,それぞれの権利の性質,国民主権原理と地方自治との関係などを踏まえて論理的に記述することができるかどうかを問うものである。

 前述の分析どおりのことが書かれている。やはり、比較問題では「論理」が聞かれているのである。注目すべきは、当てはめが問われる場合に記載される、「具体的な事案に対する適用能力」といった類の記述がないことであろう。人権は当てはめ重視という受験界の定説は、常に妥当するものではないということがお分かりいただけると思う。

【合格答案の要件】

・ 外国人の人権享有主体性について論じている
・ 性質説から、外国人に地方自治の選挙権が保障されないことを論じている
・ 公務就任権が憲法上保障されるかについて論じている
・ 性質説から、外国人に対する公務就任権の保障の可否について論じている
・ 両者を国民主権の観点から比較している

【上位答案の要件】

・ 本問が地方自治レベルの問題であることに注意を払っている
・ 外国人の地方レベルでの選挙権、管理職就任についての高裁判決や最高裁判例について、全体の流れを損なわない形で言及している

【ひでぽんの現場思考】

・ おっ!!今年は論理型問題で、かつ外国人の公務就任権がらみの出題との読みが、ズバリ当たったぞ!!
・ 公務就任権は何条で保障されるか問題となるが、本問では選挙権との比較が要求されているので、選挙権同様15条1項を根拠規定としたほうが、両者の比較を明確に出来そうだな。比較の視点は、国民主権との距離だな。
・ 判例や高裁判決についてはどこまで書こうかな?・・・・・本問では、判例や平成9年の問題と異なり、管理職就任権が問題となっているわけではないので、直接関係ないな。書くのは止めておこう。選挙権についての許容説については、触れておくか。
・ 比較問題では、まとめを書いたほうが良いな。

                                                      以上

平成19年度刑事訴訟法第2問分析
【問題文】

 検察官は,甲を,「被告人は,乙と共謀の上,平成19年3月4日,東京都内のX公園駐車場の自動車内で,殺意をもって,被告人において,Aに対し,その頸部をロープで絞め付け,よって,そのころ,同所で,Aを窒息死させたものである。」との事実で起訴した。甲は,公判において,「自分はその場にいたが,犯行に関与しておらず,本件は,乙とは別の男がやった。その男の名前は知らない。」旨弁解して無罪を主張した。
 証拠調べの結果,裁判所は,乙とは断定できないが,現場に共犯者がおり,これと甲が共謀したことは明らかであるとして,「被告人は,氏名不詳者と共謀の上,平成19年3月4日,東京都内のX公園駐車場の自動車内で,殺意をもって,被告人又は上記氏名不詳者あるいはその両名において,Aに対し,その頸部をロープで絞め付け,よって,そのころ,同所で,Aを窒息死させたものである。」との事実を認定し,有罪判決を言い渡した。
 以上の手続における問題点について論ぜよ。


【本問のポイント】

 刑訴法の第二問は、5年ぶりに公訴の分野、訴因変更の要否から出題された。また、択一的認定も聞かれている。
 本問はかなりの難問であると言えるが、本問のベースになった平成13年4月11日の最高裁決定が非常にトピカルなものであったため、以前から出題が予想されていたところであった。本問は現場での分析が非常に困難な問題であることからすると、事前の準備を行っていたかどうかで、大きな差がついた問題だったようだ。その意味で、帰納的に分析すべき問題だったと言える。
 ベースとなった判例とは微妙に事案が異なっているものの、前記決定と同様、択一的認定(概括的認定)の可否、訴因変更の要否が問題となる。後述の様に、その他付随的な論点も拾うことが可能はあるが、この二つがメイン論点となっているとみて間違いなかろう。

【刑訴法第2問の傾向】

 前回に述べた通り、第1問は捜査からの出題という事で安定しているが、第2問は証拠法からの出題が多いものの、その他の分野からの出題も少なくない。その中では、今回出題された訴因変更等、「公訴」の分野からの出題が多いと言えよう。訴因変更の要否については平成12年以来、択一的認定については平成11年以来の出題となっている。平成15年から18年まで、実に4年連続で伝聞法則がメインとして聞かれており、そろそろ別分野からの出題が予測されていたところである。
 第2問の問題は、捜査に比べて、あてはめの比重がやや下がり、より原理原則についての基礎知識・規範定立までの枠組みが大切となってくる。大半の場合は、そこまでで勝負が決していることがほとんどである。もっとも、訴因変更の可否の問題では規範定立部分までは暗記で対応できることから、あてはめ如何で勝負が決まってくるし、伝聞も問題文の事実を条文にあてはめられているかどうかで、点数が変わってくることから、あてはめにも注意を払うべきである。

【問題の分析】

問い=手続きにおける問題点

・ 認定事実と訴因記載の事実が異なる
⇒訴因変更を経ずして、事実認定が出来るのか?(訴因変更の要否)
・ 「被告人又は上記氏名不詳者あるいはその両名において」というかなり曖昧な事実認定
⇒罪となるべき事実の特定があるといえるか?(概括的認定の問題)

※前述の様に、現場で枠組みを考え付くのがかなり難しい問題である。
※両論点は論理的先後関係がないといえ、どちらを先に書いてもOKであろう。

1. 訴因変更の要否について
   
審判対象論(公訴事実対象説説VS訴因対象説)・・・当事者主義
⇒訴因対象説

訴因の意義⇒事実記載説
→もっとも、些細な事実の変化があれば変更が必要となると、訴訟経済に反する
⇒重要な事実の変化があった場合

訴因の機能(識別説VS防御説)
⇒重要な事実の変化
・ 識別説→審判対象を明示するという機能を害するか?
・ 防御説→被告人の防御に不利益があるか?
⇒被告人防御に不利益があるかの判断基準(抽象的防御説VS具体的防御説)
・ 折衷的見解(判例)
あてはめ

※本問は難問であるが、決して基本部分(訴因の意義・機能など)を疎かにしないこと。
※本問は非常にあてはめが難しい。特に、通説である抽象的防御説に立ってしまうと、本問の特殊性に配慮することが困難になってしまう。この点、後で検討する。

2.概括的認定について

本問では、択一的な記載がなされているが、共謀共同正犯(刑法60条・199条)の同一構成要件内における事実認定(概括的認定)。
⇒罪となるべき事実の特定に重要でないならば、OK

あてはめ
→共謀共同正犯の場合、共謀が存在し共謀者の内誰かが実行行為に出れば、全員が共同正犯として処罰される

※ここは非常に書きづらい。判例に準拠せずとも、自分なりに書いても問題ないであろう。

※本問では、他にも訴因の特定(共謀の日時)等が問題となりうるが、「手続きにおける問題点」とあることから、特に問題とすることはないであろう。少なくとも、大展開は避けるべきである。

【出題者の意図】

(出題趣旨)
 本問は,共犯者のいる殺人事件を題材として,訴因の意義・機能,共犯者と実行行為者をめぐって生じる訴因変更の要否,裁判所による罪となるべき事実の判示としての概括的認定の可否等について,基本的知識の有無と具体的事案に対する応用力を試すものである。

 当然ではあるが、やはり判例で問題となった争点が聞かれている。しかしながら、「訴因の意義・機能」という超基本事項が、真っ先に書かれていることに着目して欲しい。論文試験は基本を聞く試験であることがよく分かるであろう。

【本問のあてはめについて】

 本問では①共犯者が乙から不明確へ②関与の態様が、単独実行共同正犯から単独or共同実行or共謀へと変化している。そこで、前述の様に、訴因変更の要否の論点に関し、通説である抽象的防御説に立ってしまうと、特殊事情に配慮することが難しくなってしまう。類型的・抽象的にみると、当然に被告人の防御に不利益が及んでしまうからである。
 しかしながら、無理な修正はやめておいた方が無難である。基本に対する理解を疑われる危険があるからだ。反対利益を出す程度で十分であろう。
 判例や具体的防御説に立たれる場合は、いずれの結論でも良いと思う。ただ、この場合も反対利益に配慮したあてはめを心がけて欲しい。

【合格答案の要件】

・ 訴因変更の要否について論じている。
・ 訴因の意義・機能をどこかで示す。
・ 概括的認定に触れている。

【上位答案の要件】

・ 訴因変更の要否のあてはめにおいて、本問の特殊性に配慮している。
・ 概括的認定について、本問の具体的事情を分析して、論じられている。

【講師の現場思考】

・ おっ!これは直前答練で出題された、判例ベースの問題だな!!でも、ここ苦手なんだよな(汗)。
・ 訴因変更の要否は、訴因の意義・機能からしっかり書こう。しかし抽象的防御説に立つと、あっさり必要という結論になってしまう。本問の事情の下では不都合な気がするから、修正をかけよう
→結果的に大失敗。抽象的防御説ではなくなってしまった・・・。
・ 択一的認定は、書き方がよく分からないんだよな。まあ、みんな苦手だから、あっさり書こう。
  →時間が無い上、あまり理解していなかったため、メチャクチャなあてはめに。

【刑訴法総括】

 第2問が難問。第1問も意外に出来が良くない人が多かったようだ。近年では、かなりハードな出題だったと言えよう。全体として、事前の準備によって、出来不出来を分けたといえる。
来年は、1問目は相変わらず捜査から、二問目は証拠法からの出題ではないか?特に、二問目は伝聞法則に注意したい。

                                                  以上

平成19年度刑事訴訟法第1問分析
【問題文】

 警察官Aは,住居侵入被害発生の110番通報を受け,被害者B女方に赴いた。Bの説明は,「私はこの家に一人で住んでいます。先ほど居間で夕食をとっていると見知らぬ男がかぎの掛かっていない玄関から居間に上がり込んできました。悲鳴を上げるとその男は何もせずに逃げて行きましたので,すぐに110番しました。」というものであった。
 そこで,Aは,Bとともに付近を捜したところ,上記通報から約30分後に,B方から約200メートル離れたコンビニエンスストアで雑誌を立ち読みしている男性甲をBが認め,「あの男です。」と指示した。その直後,甲が同店から出てきたので,Aは,同店前路上において,甲に対し職務質問を開始した。甲の外見からは本件住居侵入を犯したことをうかがわせる証跡は認められなかったものの,甲がAの質問には何も答えずに立ち去ろうとしたことから,Aは,同所で,甲を本件住居侵入の現行犯人として逮捕した。さらに,Aは,その場で甲の身体を捜索し,着衣のポケットからカメラ機能付携帯電話,名義の異なる複数のクレジットカード及び注射器を発見したため,これらを差し押さえた。
 以上のAの行為は適法か。


【本問のポイント】

 例年通り、一問目は捜査からの出題。刑事訴訟法の捜査では、長年捜索差押出題されていたが、久々に逮捕からの出題であった。前半は現行犯逮捕の適法性、後半は逮捕の現場における捜索差押さえ(220Ⅰ②)の適法性の問題。
 一見して何を論じてよいか、すぐに分かる問題であり、論点落としは致命傷になる。もっとも、問題文が相当に具体的であり、あてはめで大いに差がつく。その意味で、当てはめ重視の問題であったといえよう。
 また、本問は前半・後半とも令状主義の例外である。そこで、原則たる令状主義に言及できているかも、一つのポイントとなる。

【捜査について】

 平成以降は、ほとんど出題がパターン化されている。大きく分けて、1.逮捕・勾留型、2.捜索差押型、3.非典型捜査方法型に分類される。2.の捜索差押型の出題が非常に多い。19年は捜索差押型と共に、久々に逮捕勾留型が聞かれた。
 捜査については、令状主義が何らかの形で絡む場合が非常に多い。
 捜査の問題では、捜査機関側の行為の適法性が問われている場合が多く、その場合は刑法のように、捜査機関側の行為を拾っていき、行為ごとに枠組みを作っていく。
 あてはめに大きな配点があるのも、捜査の特徴である。もっとも、いくらあてはめ重視と言っても、規範定立に至る過程で基本が聞かれるので、決して論理部分で手を抜かない。問題によっては、規範定立部分で勝負が決してしまう場合もある。

【現行犯逮捕の要件】

 現行犯逮捕・準現行犯逮捕の要件については、条文の文言から要件を定立する必要があるが、テキストによってその内容が異なっている。各自のテキストに拠ればよかろう。
参考までに、私の使っていた要件を挙げておく。ただ、どのような考え方に立つとしても、条文の文言は尊重すること。

・現行犯逮捕・・・①犯罪の現行性、または時間的接着性②犯罪・犯人の明白性③逮捕の必要性(その要否が論点)
・準現行犯逮捕・・・①相当程度の時間的場所的接着性②犯罪・犯人の明白性③212Ⅱ各号のいずれかの要件の充足④逮捕の必要性(その要否が論点)

【問題の分析】

問い=Aの行為の適法性

問題のある行為を拾っていく。
⇒「現行犯人として逮捕」と「差し押さえた」行為が問題となりそう。

※ここで、間違っても「職務質問」などは拾わないこと。

1. 現行犯逮捕の適法性

現行犯逮捕(212Ⅰ)を検討
令状主義の例外として、現行犯逮捕が許される趣旨(必要性・許容性)を説明。

要件定立①②(③)
⇒①・・・「30分後」「200メートル」
 ②・・・??

次に、準現行犯逮捕(212Ⅱ)を検討
合憲性がまず問題(必要性・許容性)

要件定立①②③(④)
⇒①・・・「30分後」「200メートル」「先ほど」「すぐに」
 ②・・・「あの男です」と指示
 ③・・・「証跡は認められない」「職務質問」「何も答えずに立ち去ろうとした」
 ④・・・「コンビニエンスストア」「立ち読み」

※ 本問で準現行犯逮捕を違法とするのは、良くない。220Ⅰ①の問題へつながらないからである。また、間違っても、緊急逮捕について検討してはいけない。
※ 当てはめは、事実を丁寧に評価すること。

2.捜索差押さえの適法性

現行犯逮捕が適法とすると、令状なき捜索差押も220Ⅰ②で適法になる余地。

もっとも、本問では対象物が、被疑事実である住居侵入罪とは無関係なものとも思える。
→対象物の範囲が問題
⇒緊急処分説→規範定立

あてはめ
→明らかに無関係とも思える。
↓しかし
・ 携帯電話・・・単なる携帯電話ではなく、あえて「カメラ機能つき」とある点が、怪しい。
・ 複数の名義のクレジットカード・・・盗んだものの可能性。
・ 注射器・・・覚せい剤?

※ 結論はどちらでも良いであろう。ただ、反対利益には必ず配慮すること。


【出題者の意図】

(出題趣旨)
 本問は,捜査において重要な端緒となる現行犯逮捕を題材として,現行犯逮捕及び逮捕の現場における捜索差押えが許容される趣旨・要件に関する基本的な理解を問うことによって,捜査についての基本的知識の有無と具体的事案に対する応用力を試すものである。

 「許容される趣旨」とあるので、原則たる令状主義への配慮を要求していると見て間違いなかろう。令状主義の例外として、前半・後段がリンクしている。

【合格答案の要件】

・ 現行犯逮捕と準現行犯逮捕の要件を挙げる。
・ 問題文の事実をしっかり使って、当てはめ。
・ 逮捕の現場における捜索差押さえの目的物の範囲について、220Ⅰ②の趣旨から、規範を定立。あてはめ。

【上位答案の要件】

・ 現行犯逮捕・準現行犯逮捕について、令状主義から論じている。
・ 問題文の事実を評価して当てはめ。
・ 携帯電話・カード・注射器について、丁寧に当てはめ。

【講師の現場思考】

・ 久々に現行犯逮捕が出た!狙い通り!!要件を丁寧に検討しよう。・・・令状主義の原則に配慮できなかった。
・ 220Ⅰ②はまた出たのか?!令状主義の原則から、丁寧に論じてやろう。規範も趣旨からロジカルに定立しよう。
・ 目的物は、どれも住居侵入罪に関係なさそうだな~。でも、あえて「カメラつき」とあるのだから、きっと使って欲しいんだろうな・・・。強姦目的として、強引に範囲に含まれるとするか。


                                                   以上

平成19年度民事訴訟法第2問分析
【問題文】

 甲は,乙に対して貸金債権を有しているとして,乙に代位して,乙が丙に対して有する売買代金債権の支払を求める訴えを丙に対して提起した。
 1  甲の乙に対する貸金債権の存否に関する裁判所の審理は,どのようにして行われるか。
 2  乙の丙に対する売買代金債権が弁済により消滅したことが明らかになった場合,裁判所は,その段階で,甲の乙に対する貸金債権の存否の判断を省略して,直ちに甲の丙に対する請求を棄却する判決をすることができるか。
 3  裁判所は,甲の乙に対する貸金債権は存在し,乙の丙に対する売買代金債権は弁済により消滅したと判断して,甲の丙に対する請求を棄却する判決を言い渡し,その判決が確定した。当該貸金債権が存在するとの判断が誤っていた場合,この判決の既判力は乙に及ぶか。


【本問のポイント】

 長年「出る出る」と言われ続けた、債権者代位訴訟の問題である。債権者代位訴訟は、他人間の権利法律関係について、当事者適格が認められるという特殊な訴訟形態である。そこで、債権者代位訴訟を論じる際は、常に当事者適格に留意する必要がある。
 本問は小問1が基礎的な知識を問う問題であり、小問2・3は比較的典型的な論点を聞く問題である。その意味ではそれなりの答案を作成するのは、それほど困難ではない。
 しかしながら、債権者代位訴訟の特殊性に留意しつつ、本問での具体的な利益状況について配慮し、各小問を統一的に解決しようとする姿勢が出ているか否かで、大きな差がついてしまう問題であったと言える。また、小問3には、かなりの応用が含まれている。やはり本試験である。

【問題分析】

1.小問1
問い=裁判所の審理はどの様にして行われるか?
※やや問いかけが曖昧なため、出題意図に気づけない受験生も多かったようだ。

貸し金債権の存否は、甲の当事者適格を基礎付ける事情(法定訴訟担当説)
→訴訟要件の存否の判断についての審理=職権調査事項

もっとも、当事者適格は本案の審理と密接に関係。
⇒弁論主義が妥当

また、本案の審理と密接なので、本案と平行審理される(小問2から気づける。小問2とのリンク)。

2.小問2
問い=貸し金債権の判断を省略して、請求棄却判決をすることの可否。

訴訟要件の存否についての判断を省略して、本案についての棄却判決をすることが出来るか?(論点)。
⇒通説・判例はNGと解する。

もっとも、これで話を終わらせない。本問の具体的事情に配慮。
⇒本問では、本案が不存在であると明らかならば、それ以上手続きを継続させても、無駄となる可能性が高い
→訴訟不経済・丙は早期解決を望む。

しかし、小問3で明らかになるように(小問3とのリンク)、乙には甲丙間の判決の既判力が及ぶので、甲に当事者適格があるか分からない状態で、請求棄却判決を出してしまうと乙の手続き保障を害する。
⇒先述の結論が妥当である。

3.小問3
問い=貸し金債権が存在するとの判決が誤っていた場合、既判力は乙に及ぶのか?

既判力の主観的範囲の問題
→115Ⅰ①
※必ず原則(115Ⅰ①)から丁寧に論ずる。趣旨も丁寧に論ずる。

小問1で述べたように、債権者代位訴訟は法定訴訟担当であり、115Ⅰ②で既判力が拡張される場面。
※ここも趣旨を丁寧に。
↓もっとも
債権者代位訴訟で債権者敗訴の場合にも、債務者に既判力は及ぶのか?(論点)
⇒及ぶ(通説・判例)
↓しかしながら
前述の様に、貸し金債権の存否は、当事者適格を基礎付けるもの。とすれば、その存否が不存在であり、当事者適格を欠く甲が訴訟追行したにも拘らず、既判力を乙にも及ぼすと、乙の手続保障を害するのではないか?・・・修正の必要性

115②で本人に既判力が拡張されるのは、当事者適格を認められるような第三者が訴訟を追行したから。
⇒とすれば、被保全債権を有せず、当事者適格が認められない者の訴訟追行により生じた既判力は、本人たる債務者に拡張されないと考えるべき。

※上記の考えは、あくまで一つのモデルである。第三者の応訴の負担や法的安定性、あるいは債務者の独立当事者参加が可能性を考えれば、当事者適格がない自称債権者の追行した訴訟の結果生じた既判力が、債務者に及ぶと考えることも出来よう。ここは応用であるから、いずれの結論を取ってもOKだと思う。重要なのは、既判力の拡張の根拠などから、丁寧に論じてやることである。

【出題者の意図】

(出題趣旨)
 当事者適格の訴訟要件としての訴訟上の意義と,その審理のあり方を問う問題である。1では,当事者適格が職権調査事項としてどのように審理されるかを,その存否の判断資料の収集方法を中心に論ずべきである。2では,当事者適格の存否の判断を省略して直ちに請求棄却の本案判決をすることの可否を,見解の対立も踏まえて論ずべきである。3では,当事者適格を欠いていることを見誤った確定判決に,判決としてどのような効力が認められるかを論ずべきである。

 上記分析とほぼ同様なことが、出題の趣旨には書かれている。冒頭の記述から、当事者適格が本問のポイントとなっていることは明らかである。小問間でのリンクが要求されていると見て、間違いなかろう。また、小問2では反対利益への配慮を明確に要求していることにも着目して欲しい。

【合格答案の要件】

1. 小問1では被保全債権の存否が、当事者適格を基礎付けることを説明した上、職権調査事項と弁論主義について言及していること。
2. 小問2では、訴訟要件と本案判決の先後関係について論じていること。
3. 小問3では、既判力の主観的範囲について、原則から論じられていること。
4. 債権者代位訴訟の特殊性から、債権者敗訴の場合は既判力を拡張すべきでないのではないかについて論じられていること。

【上位答案の要件】

1. 全体を当事者適格の観点から、リンクを図っている。
2. 小問2・3で、具体的な本問での状況を考え、利益の調整を図ろうとする姿勢が出ていること。
3. 小問3を、115Ⅰ②の趣旨から、丁寧に論じていること。

 小問形式の問題では、リンクできないかどうかを常に念頭に置くべきだろう。
 また、論点を事例問題で論ずる際は、単に覚えたものを貼り付けるのではなく、具体的にその事例でどのような利益対立が生じるかをイメージすべきである。そこで、普段の勉強の際も、その論点がどの利益とどの利益の対立関係かを常に意識することが重要である。

【ひでぽんの現場思考】

・ 上記の思考過程とほぼ同様の、流れを辿ることが出来た。
・ 小問3で問題文を読み違えた。不存在である債権が、非保全債権たる貸金債権ではなく、売買代金債権と間違えたのである。お陰で、115Ⅰ②の趣旨から修正を図ることが出来なかった。もっとも、答案を読む限りでは、それなりに充実した論証をしているので、結果的には大きな痛手にはならなかったようだ。基本部分は丁寧に論じられているので、十分なA答案となったようである。

【民訴の総括】

 一問目は完全な現場指向型の問題。対して、2問目は典型的ながら、非常に奥が深い本試験ならではの良問であった。書くべきこともかなり多い。
 一問目はいくら時間を掛けて量を書いても、内容面の質が上がるとは考えられないので、
短く端的に論じ、二問目に時間を使うべきである。くれぐれも、1問目で勝負をかけるべきではない。
 来年も、一問目が未知の一行問題であり、二問目が典型的ながら奥の深い問題が出題されることと思う。特に一行問題の現場での処理方法を確立しておくべきであろう。






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