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ひでぽんの司法試験あれこれ
旧司法試験をメインテーマに、その対策や分析について、徒然なるままに書いていきたいと思います。
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平成19年度商法第2問分析
【問題文】

 運送業を営むA株式会社は,小規模で同業を営んでいるB株式会社に自らの業務の一部を委託していた。B社では,これまで自らの商号によってその事業を行ってきたものの,仕事を得ることが難しくなってきた。そこで,A社は,B社の代表取締役Cに対し,「A社副社長」の肩書を付した名刺の使用を許諾し,さらに,B社は,事務所にA社の商号を表示した看板も掲げて事業を行うようになった。
 その後,B社は,次第に資金繰りが悪化し,事業の継続が事実上困難となってきたが,Cは,上記の名刺を用いて,DからB社の事業に用いている自動車の部品を100万円で購入し,Dは,B社の上記事務所において,相手方をA社と誤認して,当該部品を引き渡した。しかし,その代金は,Dに支払われなかった。
 Dは,A社,B社及びCに対し,それぞれどのような責任を追及することができるか。

【商法二問目の出題傾向】

 商法では例年、1問目に会社法が、2問目には手形法・総則が出題される。近年は、手形をベースに、総則や会社法の論点も含んだミックス問題が多く出題され、総則プロパーな問題は、15年以来出題されていなかった。
 ところが、本問は会社法と総則のミックス型問題であり、多くの受験生が現場で我が目を疑った。おそらくは18年の問題で、手形プロパーの問題が出題された反動ではないかと思う。
 ただ、一部で言われている、「今後手形は出題されない」などという流説は絶対に信じてはいけない。出題傾向は5~10年単位で分析すべきであり、一年だけを見て、翌年の出題を決め付けることは避けるべきである。私は、20年は確実に手形から出題されると考える。十分な準備をすべきである。

【本問のポイント】

 論点そのものは超典型的であり、かつ事案の把握も容易であって、かなり基本的な問題だといえよう。このレベルの問題は、予備校の論点つぶし系答練でもよく出題される。したがって、論点を落とすとかなり致命的で、一気に真ん中以下になる危険がある問題だと考えるのが、普通とも思える。
 ただ、実際には、多くの受験生が論点落としをしてしまっている。一問目で分析に時間を使いすぎて、二問目で時間不足に陥り、焦って不十分な論述に終わった人が多かったのであろう。やはり、論文試験では、二通揃って評価の対象になるということを再確認すべきであろう。バランスを重視することが重要である。
 また、会社法改正により、名板貸人等の条文が変更になったことにも注意すべきである。司法試験では、条文にも配点は当然ある。かかる点を決して疎かにすべきでない。会社法ではなく、総則の条文を引いてしまった受験生が多かったようである。

【答案構成】

1.B社への責任追及(原則)
 C=代表取締役・・・代表権あり(349Ⅰ・Ⅲ)
 →B社に効果帰属
 →代金支払い請求(民555)、損害賠償請求(民415)、
  解除による原状回復請求(民541・545)
 →不都合性(事実を使う)

2.A社への責任追及
 原則:追及できず
 修正の必要性
(1)法律構成1:354
  直接適用×
  類推(趣旨)
     ・「副社長」
     ・「付した」?→認定
     ・「善意」・・・意義
(2)法律構成2:9
   直接適用?
     ・ 「許諾」?(趣旨)→認定
     ・ 「誤認」
3.Cへの責任追及
  429Ⅰ
     ・ 「悪意」「重大な過失」
    →意義(趣旨)
     ・ 「損害」
     ・ 因果関係

 ※ 354条類推については、後記浦和地裁判決が否定するように、やや無理がある法律構成ではある。元取締役や従業員については、会社そのものと一定の関係があり、類推を認めても、さほど会社に酷であるとは言えないが、本問でCは、A社とは全く無関係の者であるからである。
 ※ B社の責任から検討したほうが良いと思う。B者に対する責任追及が、いわば原則であり、そこを示さないと、修正の法律構成である名板貸人の責任などが流れよく論じられないからである。

【合格答案の要件】

・A・B・Cについて、全て責任を検討。
・B・・・契約責任を明示。
・A・・・名板貸人の責任。趣旨の明示も必須であろう。
・C・・・429Ⅰの検討
→意外に、レベル低い。

【上位答案の要件】

・B→A→Cの順で検討。
・修正の必要性を、問題文の事実を用いて明示。
・354の類推について書く。
・429Ⅰの趣旨を書く。
・具体的事実を用いた認定。
・浦和地裁の判決を意識している

【出題者の意図】

(出題趣旨)
 本問は,役員である旨の肩書の付与により他社の商号の使用の許諾を受けた株式会社の代表取締役が第三者と取引を行って損害を与えた場合について,当該他社,当該株式会社及び当該代表取締役がそれぞれどのような根拠で第三者に対して責任を負うかを問うものである。解答に際しては,当該他社の名板貸人としての責任,当該株式会社の契約責任及び当該代表取締役の第三者に対する責任について,整合的な論述をすることが求められる。

 ごくごく当たり前のことしか書かれていない。やはり、何の捻りもないストレートな出題だったということだろう。ただ、表見代表取締役についての記述が見当たらないのは、法律構成として、やや無理があるからだろうか?

【浦和地裁判決】

 平成11年8月6日判決。本問の元ネタであろう。会社外部の者+肩書き付き名刺の使用の許諾に過ぎないので、表見代表取締役の類推を否定しつつ、名板貸しにより責任を認めた。
 ただ、単なる問題作成上の元ネタに過ぎず。知識として要求されているわけではないことに注意すべきである。くれぐれも、マニアックな判例リサーチ的勉強に走るべきでないことは言うまでもない。予備校等が言うような「判例学習の重要性」を、額面どおり受け取っていけないのである。

【ひでぽんの現場思考】

・ガーン・・・(涙)。あれだけ手形やったのに、出なかった・・・。
・(気を取り直して)会社法と総則のミックス型問題か。しかし簡単な問題だな。これなら、大丈夫そうだ。
・原則的である対B社に対する請求から書き始めよう。その後修正の必要性を丁寧に認定しよう。
・次は、メインたるAの責任だな。名板貸人と表見代表取締役を書けるな。繋ぎが難しいので、少し工夫が必要だな。
・Cは429Ⅰ位しか書くことが無いな。趣旨からある程度丁寧に論証するか。

【商法総括】
1問目の分析に時間を取られて、2問目に十分な時間を割けなかった受験生が多かった模様。2問とも無難にまとめれば、Aが付いてしまったようだ。両問間でのバランスの重要性を再認識させられる問題だったと言えよう。

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