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ひでぽんの司法試験あれこれ
旧司法試験をメインテーマに、その対策や分析について、徒然なるままに書いていきたいと思います。
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平成19年度民事訴訟法第1問分析
【問題文】

 裁判所が争点整理又は事実認定に関して専門家の協力を必要と認めるときに,これを可能にするため民事訴訟法が定める方法について,各方法の目的及び内容の相違を明らかにしながら論ぜよ。

【本問のポイント】

 純粋な一行問題で、かつ事前の準備が全く役に立たない、完全な現場指向型の問題である。ほとんどの受験生にとって初見であり、考えたことのない問題であったと言えよう。しかしながら、ほぼ全員にとってゼロからのスタートであったので、現場で冷静に対処できたかどうかで、合否を分けた。
 鑑定には、ほぼ全員の受験生が気づいたものの、専門委員については、私を含めて、全く事前に知らなかった受験生も多かった。現場において条文を引けたかどうかが勝負の分かれ目になったようだ。目次から、項目を見て条文を探していく作業の重要性が大切であると、気づかされた問題である。
 未知の一行問題に対する対策は以下を参考にしていただきたい。

【一行問題対策】

1.傾向
 平成10年ほどまでは、単純な知識・概念の説明を要求される出題がほとんど。該当箇所の知識があれば、簡単に解けるような問題が多かった。
 その後、平成12年に原則とその例外を問う問題が出題される。更に、平成13年には
レベルの異なる二つの概念の関係を問う、知識では太刀打ちできない問題が出題されるようになる。
 平成17年に入り、それまで誰もが考えたことの無いような問題意識を問う出題がされるようになる。平成19年の問題は、ほとんどの人が見た瞬間に呆気にとられた、ぶっ飛んだ出題だった。

2.対策
(1)原則・例外パターン(H12・14・15)
 民法上の大原則について、定義・趣旨・現れから説明し、更にその例外について、認める必要性、原則との関係に配慮しつつ論じていく。
→最低限の知識が必要だが、ワンパターンで処理でき、比較的取り組みやすい。例外を認める許容性を、原則の趣旨から考えていくと、高得点が期待できる。

(2)異なるレベルに属する、複数の概念の関係を問うパターン(H13・16)
 各概念を説明しつつ、両者の関係を、その属するレベルに留意しつつ論じていく出題形式。双方が異なるレベルに属するため、一見無関係なように見えるが、実は相互に影響を与えているという場合が多い。
→単純な知識では太刀打ちできず、その概念に対する深い理解が必要。縦の四段階レベルと、横の手続の流れのレベルを意識すると、両者の関係に気づきやすい。
 ネタ切れのせいか、出題されなくなってしまった。

(3)既存の知識から外れたパターン(H17~)
 事前の準備がほとんど役に立たない、受験生泣かせの問題。来年以降も、この出題
形式が続くと考えられる。

平成17年・・・第一審の形骸化防止とそのための制度
平成18年・・・訴状の必要的記載事項の趣旨と、訴状却下についての説明
平成19年・・・専門家の関与の方法

こういったタイプの問題では、以下のようなことを心がけることが大切である。

・知識で解こうとしない。
・訳の分からない問題が出たら、とりあえずラッキーと思う。勝手に自爆する人が多いので、冷静になった時点で半分勝ち。
・まず条文を引いて、関連しそうなものを探す。目次から探す。
・問いに答えるように、答案構成を工夫する。内容面で勝負しにくいので、形式面を整える。
・マイナーな分野が聞かれていても、基本を大切に。答案全体から、民訴全体の理解が伝わるようにする。
・既存の知識が使えそうなら、使ってみる(平成17年→適時提出主義)。但し引っ張り込みには注意する。
・誰もが書けるところは、ややバランスを崩しても、しっかり書く(平成18年の前半部分)。難しいところに引き摺られない。
・平成19年のように取っ付きづらい問題は、民訴の大きな視点から、総論を作ると見栄えが良い。

【ひでぽんの現場思考】

・問題文を読んで鑑定には気づく。
・他の方法が思いつかず、とりあえず総論を作ることにする。
→弁論主義・自由心証主義から原則を示しつつ、適切な紛争解決という視点から、専門家の関与の必要性を示す。
・条文を当たり、専門委員に気づく。
→鑑定との相違点を探す。
→鑑定は承認と同様(点の関係)、それに対し専門委員は継続的に手続に関与(線の関係)と考える。
・ 問題分の指定に合わせるべく、目的と内容を説明するように心がける。ただ、専門委員については、条文を書き写しただけである。
・時間があったので、知財調査官についても付け加える。

【出題者の意図】

(出題趣旨)
 専門的知見を必要とする事件について民事訴訟法が用意する各種の制度(鑑定,専門委員,調査嘱託,鑑定嘱託,釈明処分としての鑑定,知財関係事件における裁判所調査官等)の理解を問うものであり,鑑定が専門的経験則又はそれを事実に適用した結果についての専門家の意見を証拠資料とするもので,当事者の申出を要すると一般に解されているのに対し,専門委員の説明は証拠資料ではなく,当事者の意見聴取を経れば専門委員を関与させられること等を論ずべきである。

 本問は、前述の様に受験生のほとんどに事前の知識が無かった問題である。事後的に、知識をインプットしたところで、本年度以降の対策にはほとんど役に立たない。それを念頭に置きつつ、出題者の意図を分析してみる。
 問題文には「裁判所が~認める時に、これを可能にする方法」とある。つまり、専門家関与一般について問われているのでなく、あくまで裁判所が必要と認める時のことについて問われている点に注意する。
 また争点整理「又は」事実認定とある点についても注意する。即ち、前者には職権進行主義が妥当し、後者には弁論主義が妥当するのである。
 そして、専門委員は専ら訴訟手続き整理のための制度であり、対して鑑定は、「証拠」の章に規定されている点からも、証拠方法についての制度である点にも気づくことができる。すなわち、両者は証拠として採用されるか否かの点において、決定的な違いがあるのである。
 そこで、鑑定の方法を採用するには弁論主義の観点から、当事者の申出が必要であり、対して専門委員については職権進行主義の観点から、当事者の意見を聴取すれば、裁判所の職権で採用することが可能なのである。本問は正にこの違いが問われた問題であったといえよう。

 ただ、しつこいようではあるが、決して細かい知識のインプットに走る勉強はしないこと。私は、前述のように、出題の趣旨に書かれているようなことについて、ほとんど書くことが出来なかった。それでも十分にAが付いている。試験委員の求めているレベルと、受験生のレベルの間の齟齬が著しい場合は、そんなものなのだ。司法試験が相対評価に過ぎないということが、よく分かるであろう。
 また、条文の重要性にも気づくことであろう。現場で条文をしっかり引いたからこそ、専門委員に気づくことができたわけであるから。

【合格答案の要件】
1. 鑑定と専門委員を挙げる。
2. その目的と内容を説明(形だけでOK)
3. 両者の違いに触れる。

【上位答案の要件】
1. 職権進行主義と弁論主義に触れる。
2. 両者が証拠方法か否かという観点から、意見聴取で足りるか、当事者の申出が可能かを論じる。
3. 他の制度を挙げる。

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