ひでぽんの司法試験あれこれ
旧司法試験をメインテーマに、その対策や分析について、徒然なるままに書いていきたいと思います。
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平成19年度刑事訴訟法第1問分析
【問題文】

 警察官Aは,住居侵入被害発生の110番通報を受け,被害者B女方に赴いた。Bの説明は,「私はこの家に一人で住んでいます。先ほど居間で夕食をとっていると見知らぬ男がかぎの掛かっていない玄関から居間に上がり込んできました。悲鳴を上げるとその男は何もせずに逃げて行きましたので,すぐに110番しました。」というものであった。
 そこで,Aは,Bとともに付近を捜したところ,上記通報から約30分後に,B方から約200メートル離れたコンビニエンスストアで雑誌を立ち読みしている男性甲をBが認め,「あの男です。」と指示した。その直後,甲が同店から出てきたので,Aは,同店前路上において,甲に対し職務質問を開始した。甲の外見からは本件住居侵入を犯したことをうかがわせる証跡は認められなかったものの,甲がAの質問には何も答えずに立ち去ろうとしたことから,Aは,同所で,甲を本件住居侵入の現行犯人として逮捕した。さらに,Aは,その場で甲の身体を捜索し,着衣のポケットからカメラ機能付携帯電話,名義の異なる複数のクレジットカード及び注射器を発見したため,これらを差し押さえた。
 以上のAの行為は適法か。


【本問のポイント】

 例年通り、一問目は捜査からの出題。刑事訴訟法の捜査では、長年捜索差押出題されていたが、久々に逮捕からの出題であった。前半は現行犯逮捕の適法性、後半は逮捕の現場における捜索差押さえ(220Ⅰ②)の適法性の問題。
 一見して何を論じてよいか、すぐに分かる問題であり、論点落としは致命傷になる。もっとも、問題文が相当に具体的であり、あてはめで大いに差がつく。その意味で、当てはめ重視の問題であったといえよう。
 また、本問は前半・後半とも令状主義の例外である。そこで、原則たる令状主義に言及できているかも、一つのポイントとなる。

【捜査について】

 平成以降は、ほとんど出題がパターン化されている。大きく分けて、1.逮捕・勾留型、2.捜索差押型、3.非典型捜査方法型に分類される。2.の捜索差押型の出題が非常に多い。19年は捜索差押型と共に、久々に逮捕勾留型が聞かれた。
 捜査については、令状主義が何らかの形で絡む場合が非常に多い。
 捜査の問題では、捜査機関側の行為の適法性が問われている場合が多く、その場合は刑法のように、捜査機関側の行為を拾っていき、行為ごとに枠組みを作っていく。
 あてはめに大きな配点があるのも、捜査の特徴である。もっとも、いくらあてはめ重視と言っても、規範定立に至る過程で基本が聞かれるので、決して論理部分で手を抜かない。問題によっては、規範定立部分で勝負が決してしまう場合もある。

【現行犯逮捕の要件】

 現行犯逮捕・準現行犯逮捕の要件については、条文の文言から要件を定立する必要があるが、テキストによってその内容が異なっている。各自のテキストに拠ればよかろう。
参考までに、私の使っていた要件を挙げておく。ただ、どのような考え方に立つとしても、条文の文言は尊重すること。

・現行犯逮捕・・・①犯罪の現行性、または時間的接着性②犯罪・犯人の明白性③逮捕の必要性(その要否が論点)
・準現行犯逮捕・・・①相当程度の時間的場所的接着性②犯罪・犯人の明白性③212Ⅱ各号のいずれかの要件の充足④逮捕の必要性(その要否が論点)

【問題の分析】

問い=Aの行為の適法性

問題のある行為を拾っていく。
⇒「現行犯人として逮捕」と「差し押さえた」行為が問題となりそう。

※ここで、間違っても「職務質問」などは拾わないこと。

1. 現行犯逮捕の適法性

現行犯逮捕(212Ⅰ)を検討
令状主義の例外として、現行犯逮捕が許される趣旨(必要性・許容性)を説明。

要件定立①②(③)
⇒①・・・「30分後」「200メートル」
 ②・・・??

次に、準現行犯逮捕(212Ⅱ)を検討
合憲性がまず問題(必要性・許容性)

要件定立①②③(④)
⇒①・・・「30分後」「200メートル」「先ほど」「すぐに」
 ②・・・「あの男です」と指示
 ③・・・「証跡は認められない」「職務質問」「何も答えずに立ち去ろうとした」
 ④・・・「コンビニエンスストア」「立ち読み」

※ 本問で準現行犯逮捕を違法とするのは、良くない。220Ⅰ①の問題へつながらないからである。また、間違っても、緊急逮捕について検討してはいけない。
※ 当てはめは、事実を丁寧に評価すること。

2.捜索差押さえの適法性

現行犯逮捕が適法とすると、令状なき捜索差押も220Ⅰ②で適法になる余地。

もっとも、本問では対象物が、被疑事実である住居侵入罪とは無関係なものとも思える。
→対象物の範囲が問題
⇒緊急処分説→規範定立

あてはめ
→明らかに無関係とも思える。
↓しかし
・ 携帯電話・・・単なる携帯電話ではなく、あえて「カメラ機能つき」とある点が、怪しい。
・ 複数の名義のクレジットカード・・・盗んだものの可能性。
・ 注射器・・・覚せい剤?

※ 結論はどちらでも良いであろう。ただ、反対利益には必ず配慮すること。


【出題者の意図】

(出題趣旨)
 本問は,捜査において重要な端緒となる現行犯逮捕を題材として,現行犯逮捕及び逮捕の現場における捜索差押えが許容される趣旨・要件に関する基本的な理解を問うことによって,捜査についての基本的知識の有無と具体的事案に対する応用力を試すものである。

 「許容される趣旨」とあるので、原則たる令状主義への配慮を要求していると見て間違いなかろう。令状主義の例外として、前半・後段がリンクしている。

【合格答案の要件】

・ 現行犯逮捕と準現行犯逮捕の要件を挙げる。
・ 問題文の事実をしっかり使って、当てはめ。
・ 逮捕の現場における捜索差押さえの目的物の範囲について、220Ⅰ②の趣旨から、規範を定立。あてはめ。

【上位答案の要件】

・ 現行犯逮捕・準現行犯逮捕について、令状主義から論じている。
・ 問題文の事実を評価して当てはめ。
・ 携帯電話・カード・注射器について、丁寧に当てはめ。

【講師の現場思考】

・ 久々に現行犯逮捕が出た!狙い通り!!要件を丁寧に検討しよう。・・・令状主義の原則に配慮できなかった。
・ 220Ⅰ②はまた出たのか?!令状主義の原則から、丁寧に論じてやろう。規範も趣旨からロジカルに定立しよう。
・ 目的物は、どれも住居侵入罪に関係なさそうだな~。でも、あえて「カメラつき」とあるのだから、きっと使って欲しいんだろうな・・・。強姦目的として、強引に範囲に含まれるとするか。


                                                   以上
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