ひでぽんの司法試験あれこれ
旧司法試験をメインテーマに、その対策や分析について、徒然なるままに書いていきたいと思います。
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平成19年度憲法第1問分析
【問題文】

 A市では,条例で,市職員の採用に当たり,日本国籍を有することを要件としている。この条例の憲法上の問題点について,市議会議員の選挙権が,法律で,日本国籍を有する者に限定されていることと対比しつつ,論ぜよ。

【本問のポイント】

 憲法の第1問は例年人権が出題される。当てはめ勝負であった昨年の問題と異なり、本問は純粋論理型の問題である。外国人の公務就任権については、管理職就任権について、近年最高裁判例が出ているところであり、本問は出題が予測されていたテーマであった。
 もっとも、本問は最高裁判例が出た管理職就任権や平等権についてではなく、広義の公務就任権についての出題であることに注意を払う必要がある。また、地方自治レベルでの選挙権との比較が要求されていることが最大のポイントとなる。後に述べるように、ここが出題意図をダイレクトにつながるのである。
 本問は、何の衒いのない典型的な出題形式であり、かつ出題が予測されていたところであるにもかかわらず、意外に出題の趣旨どおりの答案を作成できた受験生は少なかったようである。
 因みに、本問は、平成9年第1問と非常に類似している。

【人権の出題傾向】

 憲法第1問は、前述したように、例年人権が出題される。人権の出題傾向としては、所謂、人権処理パターンの問題と、本年度のような論理型の問題に大別される。
前者は、比較的問題文が長く、事実が詳細で、あてはめをすることが要求される問題である。非典型人権について出題されることが多いのも特徴的である。近年では、平成10・11・12・14・16・18年の問題がこれにあたる。後者は、比較的問題文が短く、かつ事実についても抽象的なことが多い。比較問題として出題されることがほとんどである。近年では、平成9・13・15年の問題がこれにあたる。ただ、平成7・8・17年の問題のように、いずれとも決しがたい問題も時折出題されることにも注意を要する。
 近年は、当てはめ重視の問題が続き、平成18年が純粋な人権パターン型の問題であったことから、19年度は論理型の出題が強く予測されていたところであった。では、20年度はどうか?断定は出来ないが、やはり人権処理パターン型の出題が強く予測されるところであろう。

【論理型問題について】

 論理型の問題については、以下のような特徴がある。
まず、外国人や法人などの人権享有主体性や、平等についての出題が多いこと。平成13年に法人が、15年に平等が聞かれたので、外国人について出題される可能性が高かったところである。
そして、前述のように、比較問題として聞かれることがほとんどであること。法的三段論法を駆使して、論理を紡いでいくのが縦の論理とするならば、比較問題ではさしずめ横の論理が聞かれているのである。
 また、問題文の事実が抽象的で、当てはめに対する配点が低いことも特徴といえよう。場合によっては当てはめを要求されていない問題もある。本問も、特に当てはめを問われていない問題であったといえよう。
 この様な、比較論理型問題の処理としては、まず比較のポイントを探すことが重要となる。比較を要求されている対象について共通項を検討し、次に両者(あるいは複数の間)の相違点を探す。ここが、答案全体を貫く心臓部分となるのだ。
 次に、相互にメインとサブの関係があるならば、メインについて枠組みを作り、その中で両者を比較していくと良い。場合によっては、両者で枠組みを作った方が書きやすい場合もある。その際は、比較の対象であるサブの方から論じてやると、比較しやすくなる。相互の並列的な比較が問われているなら、双方で枠組みを作り、それぞれについて論じる中で、比較していく。
 また、比較問題では、最後にコンパクトなまとめを設けるべきである。答案が引き締まり、出題意図を把握していることが一目で分かるからである。

【問題の分析】

<両者の関係>
条例の合憲性と法律の合憲性の比較問題
→メインは条例について。法律の合憲性はサブ。

<比較のポイントの分析>
・ 市職員の採用にあたり、日本国籍を要件としている条例の合憲性
→外国人の地方自治レベルでの公務就任権を否定するもの
・ 市議会議員の選挙権を、日本国籍を有する者に限定する法律の合憲性
→外国人の地方自治レベルでの選挙権を否定するもの
⇒外国人の公務就任権と選挙権の比較

・ 両者の共通項=参政権的意義を有する人権/15条1項によって保障される人権(争いあり)
⇒外国人には、国民主権との関係で、保障の可否が問題となる人権
・ 両者の相違点=国民主権(前文・1条)との関係が異なる
⇒選挙権は国民主権を正に具現化する権利
公務就任権は、職種が幅広く、必ずしも国民主権に直結しない場合もある
→ここが両者の比較のポイント

更に両者は、国家レベルでなく、地方自治レベルのだということも一つのポイント
⇒国民主権を厳格に貫く必要は必ずしもない

※他にも、制限を設けているのが、それぞれ法律と条例であるという相違点も存在するが、全体の流れに乗ってこないので、気にせずとも良いであろう。

<枠組み作り>
1.法律の合憲性
外国人の地方自治レベルでの選挙権を侵害?

外国人の人権享有主体性(論点)
⇒性質説

参政権としての性質→国民主権と抵触
⇒保障されない
⇒合憲
↓もっとも
地方自治の特殊性⇒許容説

2.条例の合憲性
外国人の地方自治レベルでの公務就任権を侵害?

公務就任権の人権性・根拠規定(論点)
⇒15条1項説
→参政権的性質から保障されないとも思える
↓しかし
・ 公務には幅広い職種あり
・ 職業選択の自由(22条1項)としての性質
・ 地方自治では国民主権を厳格に徹底する必要はない
⇒保障される
⇒違憲

3.まとめ

※ 本問ではあてはめは特に問われていないと考える。外国人に公務就任権が保障されているならば、一切の外国人の公務就任を否定する本問条例は、自動的に違憲になるからである。もっとも、多くの受験生はあてはめを展開してしまっているので、問題はなかろう。
※ 公務就任権ではなく、平等権として展開した受験生もそれなりにいたようだ。最高裁判例に従ったものと思われる。これでもAがついている。しかしながら、それでは選挙権との比較という、本問の視点がぼやけてしまうので、あまり好ましくないと言える。
※ 外国人の選挙権について判例(許容説)、あるいは、公務就任権についての高裁判決や最高裁判例については、どこまで触れるべきなのか迷うところである。思うに、本問では選挙権については比較の対象に過ぎないし、管理職就任について問題となった東京都の事件と異なり、本問では広義の公務就任権が問題となっているので、大展開は危険である。加点事由であると考える。触れる場合も、全体の流れを損なわないように気をつけて論じるべきであろう。

【出題者の意図】

(出題趣旨)
 本問は,外国人の公務就任権及び地方議会議員の選挙権について,外国人の人権享有主体性,それぞれの権利の性質,国民主権原理と地方自治との関係などを踏まえて論理的に記述することができるかどうかを問うものである。

 前述の分析どおりのことが書かれている。やはり、比較問題では「論理」が聞かれているのである。注目すべきは、当てはめが問われる場合に記載される、「具体的な事案に対する適用能力」といった類の記述がないことであろう。人権は当てはめ重視という受験界の定説は、常に妥当するものではないということがお分かりいただけると思う。

【合格答案の要件】

・ 外国人の人権享有主体性について論じている
・ 性質説から、外国人に地方自治の選挙権が保障されないことを論じている
・ 公務就任権が憲法上保障されるかについて論じている
・ 性質説から、外国人に対する公務就任権の保障の可否について論じている
・ 両者を国民主権の観点から比較している

【上位答案の要件】

・ 本問が地方自治レベルの問題であることに注意を払っている
・ 外国人の地方レベルでの選挙権、管理職就任についての高裁判決や最高裁判例について、全体の流れを損なわない形で言及している

【ひでぽんの現場思考】

・ おっ!!今年は論理型問題で、かつ外国人の公務就任権がらみの出題との読みが、ズバリ当たったぞ!!
・ 公務就任権は何条で保障されるか問題となるが、本問では選挙権との比較が要求されているので、選挙権同様15条1項を根拠規定としたほうが、両者の比較を明確に出来そうだな。比較の視点は、国民主権との距離だな。
・ 判例や高裁判決についてはどこまで書こうかな?・・・・・本問では、判例や平成9年の問題と異なり、管理職就任権が問題となっているわけではないので、直接関係ないな。書くのは止めておこう。選挙権についての許容説については、触れておくか。
・ 比較問題では、まとめを書いたほうが良いな。

                                                      以上
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